年金や社会保険は債務整理できる?自己破産・個人再生・任意整理すれば免除されるのか

ケース別に考える債務整理

借金返済で苦しんでいる人には、社会保険料の滞納もある人が少なくありません。

社会保険とは、次の5つの保険制度のことをいいます。

・健康保険
・年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険

このうち介護保険、雇用保険・労災保険は、すべての人に支払い義務があるわけではありません。

介護保険は40歳以上の人のみ支払う義務があります。

また、雇用保険は「雇用されている人」が、労災保険は「他人を雇用している人」に支払い義務のあるものです。

たとえば、個人事業主であれば、「雇用されているわけではない」ので雇用保険を支払う必要はありませんが、1人でも従業員を雇っていれば労災保険を支払う必要があります。

サラリーマンや公務員であれば、社会保険料の支払い負担を気にすることはほとんどありません。

社会保険料は源泉徴収され勤務先から直接納められているからです。

しかし、源泉徴収さられない自営業者やアルバイト(労働時間が多い場合はアルバイトでも源泉徴収されます)の場合には、社会保険料の負担感は小さくない場合が多いです。

特に、経営の苦しい中小企業の経営者には、労災保険の未納があることも珍しくありません。

社会保険料の納付は国民の義務なので、債務整理をしても免除や減額されることはありません。

それどころか、社会保険料に多額の滞納があると、自己破産以外の債務整理を行えないこともあります。

そこで、今回は、社会保険を滞納している人が債務整理する際に注意すべきポイント、社会保険料の滞納分を解決する方法について解説します。

社会保険の延滞を放置するとどうなるか?

サラリーマンや公務員の人であれば、税金や年金、健康保険を延滞することはまずありません。

これらの公租公課は、源泉徴収(給料から天引き)され、給料の支払者(勤務先)がすでに納めているからです。

他方で、会社経営者・個人事業主やアルバイトにとって、年金、保険、税金の支払いは、かなり重たい負担です。

特に、従業員を雇用していれば、従業員の労災保険の負担もあります。

実際にも、個人事業主やアルバイトの人には、借金だけでなく社会保険や税金も滞納しているという人は珍しくありません。

社会保険料は延滞すると強制徴収される

年金や国民健康保険といった社会保険料の支払いは,納税と同様に国民の義務です。

社会保険料の徴収期間である地上自治体などには、滞納者から強制的に保険料を徴収する権限も与えられています。

この強制徴収の手続きを「滞納処分」といいます。

社会保険料の滞納から滞納処分までの流れを簡単に確認しておきましょう。

納付期限を過ぎても社会保険料が納付されないときには、それぞれの徴収期間より「督促状」が送られてきます。

この督促状で定められた納付期限を過ぎてもなお滞納が続いているときには、徴収期間はいつでも滞納処分することが可能です。

ただ、実際には滞納処分を行うための準備や手続きの都合でもう少し時間がかかるので、この間に電話での督促や来庁を要請されることもあります。

滞納処分は、滞納者の財産を差し押さえることで行われます。

最も典型的なのは、預金や取引先に対する売掛金といった債権の差押えです。

2018年1月から銀行口座とマイナンバー-との紐付けが開始されたので、いままでよりも滞納処分はかなり容易に行えるようになりました。

ただし、現在では口座開設時のマイナンバー届出は任意です。

滞納処分は1度実施されると滞納している保険料を完済するまで続きます。

自営業者が入金口座を差押えられると、資金繰りに頓挫し事業に大きな支障がでる場合もあります。

なお、公租公課の徴収期間による滞納処分は、銀行や消費者金融による差押えと異なり、事前に訴訟などの手続きを経由する必要がありません。

そのため、予期しないタイミングで滞納処分されてしまう可能性があることに注意しておく必要があります。

ところで、滞納処分で差し押さえる財産がないときはどうなるのでしょうか。

滞納処分の時に財産がない場合でも滞納額が免除されることはありません。

実務的には「執行停止」となり、差し押さえる財産がないかどうかを再度調査することになります。

社会保険の滞納分は債務整理できない


社会保険料は、銀行や消費者金融などからの借金とは違います。

納付は国民としての義務です。

したがって、社会保険料や税金の延滞分は、債務整理しても減額されたり免除されることはありません。

また、納付を延滞したことによって生じる延滞金も一切免除されません。

たとえば、自己破産した場合には、社会保険料や税金の滞納分は「非免責債権」となります(破産法253条1項)。

非免責債権は、自己破産した際に手元に残った「自由財産」、破産後に得た「新得財産」から支払わなければならない支払いです。

したがって、銀行や消費者金融などに差し押さえられた場合と異なり、滞納処分による差押えは自己破産・個人再生しても解除されません。

なお、法人が破産した場合には、例外的に社会保険料の延滞分は事実上免除されます。

法人は自己破産すると消滅してしまうからです。

法人が支払うべき社会保険料を経営者が個人で引き継がされることはありません。

社会保険料を滞納していると任意整理・個人再生できないことも


債務整理には、自己破産以外にも、任意整理・個人再生という方法があります。

任意整理・個人再生は、「手続き後数年かけて借金(の一部)を分割返済する」点で自己破産と最も異なります。

滞納処分によって長期間給料が差し押さえられると、和解締結・再生計画認可後の分割払いに大きな影響がでます。

毎月の給料が満額得られなければ、借金返済どころではなくなる場合が多いからです。

そのため、個人再生を申し立てても、社会保険に多額の滞納があり滞納処分が回避できないときには、「再生計画が不認可」となる場合が少なくありません。

再生計画が不認可となれえば、借金は個人再生申し立て前の状態に戻ってしまいます(たとえば、個人再生開始によって中止された債権者からの差押えも復活します)。

また、任意整理の場合にも、「社会保険の滞納を解決できる見込みがない」と判断されれば、弁護士・司法書士から受任を断られるケースが少なくありません。

社会保険料の滞納を解決する方法

社会保険料の滞納分は、原則として一括納付になります。

しかし、借金の返済にも窮している人のほとんどは、年金や健康保険の一括納付は難しいでしょう。

そこで、それぞれの徴収機関に「分納」のお願いをして対応してもらいます。

分納する際の注意点


滞納している社会保険料の分納協議は、それぞれの徴収機関と個別に交渉する必要があります。

実際にも、よほど悪質な滞納の場合でなければ、分納には応じてもらえるでしょう。

たとえば、「華美な財産を処分すれば滞納額を支払える」ようなときには分納に応じてもらえないことも考えられます。

社会保険の徴収機関には、滞納者の財産状況を調査する権限があるので、「財産がないと偽る」ことは難しいと理解しておくべきです。

滞納額の分納は、借金を任意整理で解決するイメージと基本的には同じです。

しかし、分割払いの期間は、任意整理ほど長く設定することはできません。

一般的には、3~6ヶ月で滞納分を納める必要があります。

分納期間が1年を超えるような場合には、分納を認めずに滞納処分実施を選択される可能性が高いといえます。

年金保険の減免・猶予手続き

年金保険料を納めることが難しくなったときには、支払い猶予・免除の制度を利用することができます。

「本人・世帯主・配偶者の前年所得」が一定額以下の場合や失業して収入が全くない場合などには、申請によって年金保険の納付を免除してもらうことができます。

免除される額は全額、3/4、1/2、1/4の4種類です。

また、「20歳から50歳未満の本人・配偶者の前年所得」が一定額以下の場合には、申請によって年金保険の支払いを猶予してもらうことも可能です(納付猶予制度)。

(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。

これを納付猶予制度といいます。納付と猶予との一番の違いは、受け取れる年金額への反映の有無です。

免除では、半額が老齢年金に反映されますが、猶予は追納しなければ受給額に反映されません。

なお、年金納付の免除・猶予は、申請からさかのぼって適用することもできます(25ヶ月前の納付分まで)。

年金保険料の免除・猶予についての詳細は、下記ウェブサイトの説明もご確認ください

「保険料を納めることが、経済的に難しいとき」(年金保険機構ウェブサイト)

債務整理を依頼することで分納がスムーズになる

「借金の返済と保険料の分納を両立させることは難しい」と考えている人も多いかもしれません。

しかし、弁護士・司法書士に債務整理を依頼することで、分納をスムーズに行えるようにすることができます。

なぜなら、債務整理を依頼することで、当面の間は「借金の返済をストップ」させることができるからです。

債務整理を依頼してから裁判所への申立て、債権者との和解締結までには数ヶ月程度のかかることが一般的です。

この間に滞納保険料の分納を終わらせる(終わる目処をつける)ことで、債務整理の選択を拡げることが可能です。

まとめ


社会保険の滞納があるときには、借金問題もかなり深刻になっている場合が多いでしょう。

社会保険料が支払えない場合の多くは、すでに借金にも多額の延滞があるケースがほとんどだからです。

借金同様、社会保険も滞納によって財産を差し押さえられると、債務整理の選択肢が減ってしまいます。

特に自営業者の場合には、自己破産に追い込まれることで、今後の再出発に大きな足かせとなる可能性も考えられます。

自己破産で借金を処理すると、取引先などにかける迷惑も大きくなるからです。

自営業者以外の人であっても、任意整理で解決できれば、債務整理のコストを最小限に食い止めることができます。

借金が返せないだけでなく年金なども納付できない状況は、精神的にも辛くあきらめてしまいがちです。

しかし、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すえば、借金返済をストップさせることができるため、保険料の分納もしやすくなります。

債務整理の相談は、無料でうけられる事務所がほとんどです。

どうか諦めずに、早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。



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借金問題は先送りにすればするほど、状況は悪化するだけです。

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